「肩甲骨」と🎒「担ぐ動作」と「力み」と「リードが途切れる」関連——ペアダンスと身体操作の話

2025年05月29日

こんにちは、ダンシングポノ制作のニーダです。

ペアダンスや身体操作のレッスンでよく耳にする「肩甲骨」。
でも正直なところ、僕は最近まであまりちゃんと理解していませんでした。


🎥 きっかけはこの動画

身体操作でよく参考にさせていただいている動画は、大東流合気柔術岡本眞先生のYouTube動画です:

▶ 肩甲骨の動きについて(1:35〜が特におすすめ)

この中で紹介されている肩甲骨の動きを見て、
「あ、肩甲骨ってこんなに動くのか」と初めてビジュアル的に理解をしました。

調べてみると、肩甲骨は肋骨に沿って少なくとも約10cmは動くとのこと。
今まで意識していなかった身体のポテンシャルに驚きました。

同様に他の動画では「担ぐ動作」の肩甲骨の位置が重要ということも見た記憶があります。

僕の中では、その2つは知識としては知っていても有機的にリンクはしていない別々のものでした。


💃 ダンス現場での気づき

先日、両国スペースポノ(旧ハッピーターン)で行われたセンシュアルバチャータのレッスンで、
リーダーが足りなかったため、いつもはスタッフで見ていることばかりですが、久々にリード側を担当。

せンシュアルバチャータの動きは、そもそも慣れていないので、以前は「肩が上がったり」、「上腕に余計な力が入ってしまったり」していました。最近はリードに慣れてきたことや身体操作を意識することで、それがだいぶ解消されてきました。

自分が安定してくると、フォロワー側の余計な力みや、リードの“抜け”にも意識が向くようになってきます。

これまでもペアダンスのときに「改善点がありますか?」と質問されたときに上記の「担ぐ動作」がイメージしやすいので、それを伝えることで、フォロワーの方の姿勢がすごく安定することはわかっていました。

先日のレッスンでは、僕のリードがフォロワーさんの上腕で途切れてしまってるのがわかったので、ダメ元で「リュックを担ぐイメージで」とお伝えたところ、明らかにリードがフォロワーの身体の中心まで伝わっていました。

そこで閃いたのが、冒頭の動画のような「肩甲骨のポジション」「担ぐ動作」の関連性です。

例えばペアダンスにおいて以下の仮説が立ちました。

リーダーの場合:上腕二頭筋などに力がはいってリードが強かったり、肩が上がりすぎたり、前に出過ぎたりするのは「肩甲骨が背骨から離れた位置」にあるため、バランスをとるために力んでいる可能性があること。

フォロワーの場合:上腕二頭筋に力がはいったり、リードが途中で途切れるのは同じく肩甲骨のボジションが背骨から離れた位置にあるため起こる可能性。

リード、フォローともに「肩甲骨が背骨に近い位置」、つまり「リュックなどを担ぐイメージ」だとそれが起こらないのでは!?


💡 そもそも肩甲骨を背骨側に寄せると、腕に力を入れるのは難しい

自分の身体で検証してみると、「リュックを担ぐ=肩甲骨を背骨側に寄せる」状態で、
上腕二頭筋(力こぶ)に力もうとしても力が入りにくいことがわかりました。

逆に、上腕二頭筋に力をいれるためには、肩甲骨を背骨から離した方がやりやすいなと感じました。

ちなみにAIに聞いてみると以下の答えが

上腕二頭筋に力を入れやすいのは、肩甲骨が“やや外側(=外転)”にあるとき。
逆に、肩甲骨を背骨に寄せすぎる(=内転)と、上腕二頭筋の力が出にくくなるのは自然な反応です。


🧠 なぜそうなるのか?

🔧 原因1:筋の“最適長”が崩れる

  • 上腕二頭筋は「肩甲骨の関節上結節(前側)から肘の橈骨粗面」にかけて伸びている
  • 肩甲骨を背骨に寄せすぎると、筋肉が過度に引き伸ばされたり角度が変わる
  • 結果、力が出しにくい(筋出力が落ちる)

🔧 原因2:身体が“体幹主導モード”になる

  • 肩甲骨を背骨に寄せる動き(内転)は、背中を使う準備
  • 上腕二頭筋のような「末端の力を使う筋肉」は抑制されやすくなる
  • 逆に肩甲骨を少し外に逃がすと、腕だけで動かすモードに入りやすい

💪 イメージとしては:

肩甲骨の位置上腕二頭筋の出力身体の状態
背骨から離れる(外転)出力しやすい腕で動く/パンチ/引くなど
背骨に寄る(内転)出力しにくい背中で支える/つなげる/軸を保つ

🧘‍♂️ 太極拳の“推手”でも同じ体験

朝の太極拳練習で行う「推手(すいしゅ)」という押し合いの練習でも実験してみました。
僕の相手をしてくれる人は上腕がいつも力んでいて、数分もすると筋肉の疲労で限界になっていました。

それに対し、「リュックを担ぐ」意識で肩甲骨を寄せてもらったところ、まったく力まずに全身の力で押すことができていました。

ペアダンス同様、肩甲骨の位置と力みは関係あるのかもしれません。


🧠 「力を抜く」は、言葉だけでは難しい

これまで、ペアダンスでも太極拳の推手でも「力を抜いて」とアドバイスすることが多くありました。

でも実際のところ、「力を抜いて」と言われて抜ける人はほとんどいないんですよね。そもそも
・力を入れている自覚がない
・仮に気づいたとしても、どう抜けばいいのかわからない

そんな中で、肩甲骨のポジションを変えるという具体的なアクションだけで、
自然と力が入らなくなることに驚きました。

「力を入れない」ではなく、「力が入らないポジションに身体を置く」。
この感覚こそが、ナチュラルな身体操作の鍵なのだと思います。

肩甲骨を背骨側に寄せてといっても伝わらないので「リュックを背負うイメージ」が今のところ最適解かもしれません。


🧩 肩甲骨+鎖骨+橈骨がつくる「身体のつながり」

肩甲骨がキーワードだからといって、肩甲骨にこだわりすぎるのも問題があるので、さらっと書かせていただきます。

肩甲骨」に相対する部位として「鎖骨」があり、それらをまとめて「肩帯」というそうです。

肩甲骨だけではなく鎖骨も有機的に使って、さらに相手とつながるには、「橈骨(前腕の親指側の骨)」とか「手掌腱膜」やら、なにやらも大事になってくると思われます。

これらが、うまく連携することで、「相手とつながる」状態がつくれるのかもしれません。


🔑 まとめ

リュックを担ぐ」意識でペアダンスのリード・フォローは大きく変わるかもしれないと思いました。

力を抜くのが難しい」と感じていた方にこそ、“肩甲骨の位置”を見直す”を試してほしいです。


まだ実験する回数が少ないので、ぜひみなさんも「リュックを担ぐ」を試して、面白い結果があれば教えてくださいませ!


ニイダのプロフィール写真
       

この記事を書いた人|ニーダ

Dancing Pono(ダンシングポノ)の運営者。1998年にサルサに出会うのをきっかけにラテンのペアダンスを日本に拡めるよう活動中。ダンススタジオ運営やイベント企画・運用のかたわら、AIやweb・アプリ開発、動画編集、ラテンDJ、バーテンダーと多岐に渡る活動中。

2021年1月末にくも膜下出血で倒れるも奇跡的に後遺症もなく復帰。現在は人生のボーナスステージとして過ごしています。リハビリとしてはじめた太極拳、ロードバイクを趣味としています。太極拳では近所のおじいちゃん、おばあちゃんと健康のための太極拳、ロードバイクでは「極力体力を使わないでどこまで行けるか」の実験で、東京(荒川河口)-新潟(柏崎)を22時間などやったりしてます。

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📂 カテゴリー: ダンスと身体づくり
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